いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

夏休みの宿題

一夏の思い出に歌詞を書きました。

僕の夏の思い出はこれとコミックマーケット3日目、以上です。

願わくばどうかこんな僕を、優しく嗤ってやってください。

 

『無題』

作詞 いとうくん

歌      小倉唯

 

日焼けした首すじに beatsのイヤホンが擦れて痛い

ぶら下げたポーチの紐が隠し 黒くて白いのが可愛い

3日目行ったビッグサイト 今まで寝てた代償

太陽ピッカー 頭はフッラー

俺にはなかったね サマージャムみたいな懐古

1日、2日目に読んだ小説 本当は自分で書こうと思ってた計画

流れて行った時間は戻らない平等に それ知ってて過ごしたんだ無為に

何にもならないってわかって揺られるモノレール

ジェットコースターみたいで軽く吐ける

 

これで終わるんだ連休 これで終わる連休

たった5日 だけの休日

やりたいことたくさんあったんだけど

何もかも置いて終わるだけの時間は

終わらんといてって 終わらんといてって

叶わなくても込める祈りを

 

目覚めて聴こえる小鳥に安心 望んでいた生活はたまにさみしい

昨日買ったエロ本でこなすオナニー

義務感で出してるだけの精子

クーラーの効いた部屋には誰もこないし

そこで終わる精神は地味に寒いし

誰かいてもウザいだけで ほんとくだらない

叶わない線引きに動く同期のLINE 既読つけて閉じるだけあとは知らない

今日も開くタイムライン アマゾンユーチューブで流すBGM

目を瞑る13時 夢に出るここなに

尋ねるんだLINEを だけど返答はない

向かう渋谷に

 

これで終わるんだ連休 これで終わる連休

たった5日 だけの休日

やりたいこと たくさんあったんだけど

何もかも置いて終わるだけの時間は

終わらんといてって 終わらんといてって

叶わなくても込める祈りを

20190806(雨)_火

 どうも、いとうくんです。近頃すっかり性格が暗くなってしまいました。ほんとだよ。カフェとか入っても注文のときはメニューを指差すだけで頑なに喋らないし。知らない人に自分は何が好きとか何を求めているとか知られたくないので服屋とか行っても盲目のフリをします。「それ、色の切り返しがかっこいいっすよね!」「や、自分、目、見えないんで」クール。暗闇を孤独に生きるいとうくんの方がかっこいい。
 目が見えなくなったので最近は小説を読んでます。小説を読んでないときは漫画を読んでいます。プリチャンにうなぎが出たらしいですがテレビは観てないのでよくわからないです。唯一応援している現役馬、ノーブルマーズが先日の小倉記念で3着に粘り込んでて感動しました。唯一応援してる現役馬のロードヴァンドールは土曜日の札幌で悲惨な着順だったので悲しかったです。

 

浦賀和宏『緋い猫』
神神神。
『天気の子』を観て、あ、これアリになるんだ、と勇気を貰った僕ですが、本書からも同様の励ましをいただきました。あ、これアリになるんだ。クソワロタ。猫や人が酷い目にあう話だったのでよかったです。ありがとう浦賀くん!もううらがかずひろのことしか信じられない。

 

はらだ『ワンルームエンジェル』
天使天使天使。
天使が僕好みの男の子なので感動しました。主人公が僕と同じ名前なので勃起しました。絡みはないのでそういうのが苦手な人でも3000回は繰り返し読めると思います。僕は5000回読み返しました。みんなはどう?どう?

 

三秋縋『君の話』
祈り祈り祈り。
それは切実さで、だけど本当には祈りという言葉でしか表せない何かなのだ。女の子が死ぬ話が苦手なのでB面序盤までしか楽しめなかったのが残念でした。個人的な好みを抜きにすれば300点。個人的な好みでいえば3000点くらいです。

 

海猫沢めろん『夏の方舟』
愛愛愛。
文庫本になったので再読しました。うっとり。収録されている作品全部が愛おしい。なかでも「こどもたちの素数」が一番好きです。あと、電車の中でベルトがダサいと女子高生たちに陰口云われる場面から始まる小説が思い出せなくてずっとモヤモヤしていたのでスッキリしました。ありがとう、めろん先生。

 

 他にも『えれほん』『春と盆暗』『超動く家にて』『青い春』『ポジ』『ネガ』を読みました。順不同著者名感想略です。

 来週から5連休ですが世間は10連休とかある人もいるみたいですね。死ね。僕より多く休む人間は死んだほうがいい。5連休もないような人たちはかわいそうなのでみんな死んでください。さようなら、みんな。真面目にBL小説を書きたいので誰かおすすめのBL小説を教えてください。主人公が気持ち悪いやつがいいです。

おわり。

まだ生きている人の日記

2019/07/11(木)_雨

 長い休みを何度も繰り返すような子供じみた幸福時代は終わっていたし、家族からは愛されて育ったので、5連休のはじめだと云うのに気分は沈んでいたし、朝早くから出張で東京に来ている父が訪ねてきた。朝食を食べるため、駅前の喫茶店に。父親と会ってもあんまりしゃべることがなくて困る。お土産を買うために新宿までついて行ったら一万円くれた。父親のこと実は結構好きかもしれない。もらったお金で野崎まど『HELLO WORLD平山夢明『デブを捨てに』松田青子『じゃじゃ馬にさせといて』鳥飼茜『サターンリターン①』を買う。髪も切る。家に帰って『デブを捨てに』を読む。最悪。だけど『あむんぜん』のほうが最悪だったな。平山夢明も順調に成長しているということか。羨ましい。夜、ティンダーでマッチした女の子と飲みに行く。相手が話す内容が全部いとうくんのパクリでずっと頭が痛かった。

 

2019/07/12(金)_雨

 連休二日目。何もやる気が起きず家でボーッとしていると仕事の人から連絡が入る。業務ではなく雑務の連絡。ラインを見てもメールを見ても何が書いてあるのか全くわからないので何も返しようがない。ごめん。罪悪感で死にたくなる。なんで僕ばかりこんな目に。楽しい連休になるはずだったのに……。現実逃避するために読み始めた『マチネとソワレ』が面白すぎて瞬間移動で銀座に来ていたのに少し歩いただけで電車に乗って移動していた。お、おもしろ……!これまで『アクタージュ』おもろ〜と呑気にはしゃいでいた自分が恥ずかしい。作者は『魔王 JUVENILE REMIX』や『VANILLA FICTION』の大須賀めぐみさん。『VANILLA FICTION』が失速して終わったのでここが大須賀めぐみの限界か……と勝手に諦めていた。すまん。今年読んだ漫画のなかで一番おもしろいです。

 移動したらなぜか代官山にいて、店員の人に勧められるままミリタリーっぽいポケットがついたTシャツを買う。13000円がセールで8000円だった。かっこいい。店員さんがフレンドリーすぎて同じ系列のお店も一緒に回ることになった。なんでやねん、と思った。正直怖くて泣きそうだった。やっと開放されて、最寄り駅まで帰って富士そばを食べながら『マチネとソワレ』の続きを読んだ。たのしかった。素敵だ。誠きゅん、しゅきぃ。

 夜、誘われたお店にはじめて飲みに行ったら荻原魚雷さんが失格ZINEを読んでいた。聞くところによると、高円寺のドトールは随分昔になくなってしまったらしい。申し訳ないことをしてしまった。

 

2019/07/13(土)_雨

 夕方からいとうせいこうのイベントのため下北沢に。なぜかそれまで自分が何をしていたのかまったく記憶がない。下北沢に来てからは古本屋で酒見賢一『語り手の事情』を買ってカレーを食べたのを覚えている。だけど、それ以前の記憶はまったくないのだ。あ、いや、思い出した。暇だったので新宿の紀伊国屋を最上階から1エリアずつ順に見て回ったのだった。何も得るものはなかった。

 ポエトリーリーディングのイベントだった。結構おもしろかった。おもしろいことを云う人が多い印象だった。だけど、中には、何を云っているのかよくわからない人や、何を云っているのかはわかるんだけど何を云っているのかわからない人や、何を云っているのかわかるんだけどつまらない人もいた。そういう出会いのすべてがピースだった。チョキン。ハハノシキュウは一人でMCバトルをしていて感動した。ハハノシキュウが一人でMCバトルするやつは大好きだから観るたびに毎回感動する。100回くらいタイムリープしているらしくてそれも感動した。最後には、タイムリープしてまたこのステージに立つってオチもあってよかった。終わったあと、あのタイムリープのくだりはいらなかったんじゃないかと云われていたけど、僕は全然そんなことはないと思う。そもそも誰なんだお前は、と思った。ごめんなさい。

 他にはオープンマイクで話していたいとうの人とかお坊さんの人とか面白かった。オリンピックの人もよかった。僕の前に立っている人がデタラメなリズムで揺れていたので、それも面白かった。

 なのるなもないさんはライブの完成度が高くてビビった。もうダメだ。やっぱこいつつえぇわ。強い。と思った。

 枡野浩一さんのライブは面白い歌が多くてよかった。30回くらい声をあげて笑ったと思う。本当は30回も笑ってなかったかもしれない。よく覚えてない。終わったあとに少し喋る機会があったけど、枡野書店の前にあるガチャガチャをやったら何も出てこなくてお金だけ盗られた話や、頼まれて投げ銭を入れるところにBAR人間失格の名刺に百円を貼り付けたやつを入れた話はできなかった。ごめんなさい。月曜日に古本市をやるらしいので行こうと思った。

 知らない人に「例えるとポエトリーリーディングは犬で、ヒップホップはヨークシャーテリア」という話をされたけど全く意味がわからなかったのでもうポエトリーリーディングのイベントに行くことはないと思う。

 3時間くらいずっと立ちっぱなしだったので疲れた。高円寺に飲みに行ったら何十万円もする本が図書館にあるから図書館はいいよという話をしていて羨ましかった。僕も図書館に行こうと思った。TABOO1のステッカーをもらった。嬉しい。

 

2019/07/14(日)_雨

 昼前に起きる。やることもないので『アオイホノオ』を読み返した。そろそろ新刊が出てるんじゃないかと調べてみたら2日前に出ててびっくりした。そろそろ『アオイホノオ』の新刊が出てるんじゃないかと調べてみたら最近出てたってことが7回くらいずっと繰り返しているので僕はすごいと思う。

 人間失格の常連が月イチでカレー屋をやっていて、今日がその日だったので食べに行ってみたら店の前で人間失格の常連とばったり会ったので一緒にカレーを食べて外に出たら人間失格のマスターとばったり出くわした。どういうことなのかよくわからなかった。怖くなって中野に逃げる。本屋で『アオイホノオ』の21巻を買った。お、おもしろ……。ここ数年くらいずっと雁屋先生に懺悔しかしてないので感動する。

 東西線で木場へ。アートブックフェア?に行く。guccimazeのブースは大混雑でシールしか買えなかった。ていうか会場、人が多すぎてほとんど何も見えなかった。実質コミケ、と思っていたら有象無象のなかの誰かが実質コミケ、と云っていたので、実質コミケ、と思うのはやめよう、と思った。人多すぎて実質コミティアじゃん、と思った。混雑しているので麻雀牌のストラップだけ買った。外の出張古本屋でうめざわしゅん『パンティストッキングのような空の下』を買った。

 夜、池袋へ。大学のパイセンと飲む。二軒目のお店に香賀美くんのおしっこが置いてあったのでガブガブ飲む。香賀美くんのおしっこになぜアルコールが含まれているのかはよくわからない。飲んでいたらお腹がポカポカした。その後、カラオケに行ったら喉が潰れた。こんな声じゃ、もう香賀美くんに愛をささやくことも、できない。

 

2019/07/15(月)_雨

 昨日、一時間歌っただけなのに筋肉痛になった。這うように喫茶店へ。市原佐都子『マミトの天使』を読む。「虫」が一番おもしろいな、と思ったけど「マミトの天使」を読んだら「マミトの天使」が一番おもしろいな、と思った。「地底妖精」が一番おもしろかった。それから高円寺や中野へ行った。なんで高円寺や中野に行ったのかはよくわからない。僕は動き続けていないと死んでしまうんだと思う。僕はまだ死にたくはない。だから動き続けるしかない。あと、他の人にも、あんまり死んでほしくない。色々な人に生き続けてほしい。例えば、SHIROBAKOの世界に突然ゴジラがやってきてみんなをぺちゃんこに踏み潰してしまう、みたいなことは絶対起こらないわけだし、だから、現実の世界もそうであってほしい。

 夕方、枡野書店へ。午前中に行った喫茶店の店員さんが7人くらいいてびっくりした。本当は7人もいなかったかもしれない。本谷有希子『イママン』(サイン付き)とpha『夜のこと』と枡野浩一『ショートソング』『ハッピーロンリーウォーリーソング』を買った。枡野さんは自分の本をブックオフで見つけたら自分で買って自分で売り直しているらしい。もともとはブックオフにあった本にサインをしてもらった。

 それからつけ麺を食べて家に帰った。つけ麺はあんまり美味しくなかった。それが僕の連休の最後だった。繰り返すことない。あっという間に流れていっただけで、もう戻ってくることはない。

 おわり。

20190708(月)_雨

 どうも、いとうくんです。24歳です。先日、とうとう無趣味人間になってしまったので、休日何もすることが思い浮かばず気がつけばいつもどおりWINSにいました。馬券を買う。ハズレ。馬券を買う。ハズレ。馬券を買う。アタリ。馬券を買う。ハズレ。馬券を買う。アタリ。これって何が面白いんだっけ?僕の心は冷え切っていたよ。それでも、僕が現役馬で唯一応援しているロードヴァンドールが七夕賞で3着に残ったのは素直に嬉しかったです。おめでとう!今週は僕が現役馬で唯一応援しているメートルダールが函館記念を走るので楽しみです。

 

あむんぜん

あむんぜん

 

  お、おもしろ……!涙が止まらなかった。全編、最悪に最悪を上塗りしたような内容だったので夜更かしして読んでしまいました。夜更かしが見つかってお母さんに怒られました。最悪だ。次の日、会社で眠くて眠くて上司の人に怒られました。最悪だ。

「GangBang The Chimpanzee」

  不運にも動物園のチンパンジーにケツ穴をガン掘りされてしまった男性が犯されている映像が流出したことに怒って動物園に乗り込んだら不運にも動物園のチンパンジーにケツ穴をガン掘りされてしまいその映像も流出してしまったので今度こそ怒って動物園に乗り込んだら不運にも動物園のチンパンジーに食べられてしまうというお話でした。つまりBLですね。チンパンジー×主人公。最後は主人公が愛するチンパンジーと正真正銘一つになれたので本書にしては珍しいハッピーエンドでした。感動する……。僕は負けヒロインも好きなので、素直になれずちょっかいをかけて主人公の気を惹くことしかできなかった園長が不運にも動物園のチンパンジーに顔の半分を齧られ両目を潰されながらも主人公にチンパンジーを倒す武器を渡すシーンで涙が止まらなくなりました。感動した。

「あむんぜん」

 脳みそを直接いじくり回すことで超能力を発動できる少年あむんぜんと、超能力実験に付き合いあむんぜんの脳みそをいじくり回すやまPのお話でした。そうです、BLですね。不良のマギーにあむんぜんをネトラれ、超能力でジャングルジムを丸めたり廃墟の窓ガラスを割ったりしているのをただ見ていることしかできないやまPの心境を思うと胸が痛みました。不良のマギーに脳みそをいじられ、ついにテレポーテーションをしてしまったあむんぜん。あむんぜんを失い、途方にくれるやまP……。ネトラレのポイントをいい具合についてきて気持ちいいです。だから最後、やまPが不良のマギーにフェラさせられそうになったところをテレポーテーションしてきたあむんぜんが助け、共倒れするシーンには涙が止まらなかった。純愛だ……。本書にしては珍しいハッピーエンドでした。しかし、あむんぜんはもう、そこにはいないのだ。赤い粉になって消えてしまったのだ。実質新海誠

千々石ミゲルと殺し屋バイブ」

 借金で首が回らなくなってしまった主人公チチヨはゲロとウンコを食べる<ウンゲロ>に放り込まれるが、結局ウンコもゲロも食べることができず、一緒にウンゲロに来ていたヤクザのタカと彼のアパートで息をひそめるように生活しヤクザのチツローから逃げるお話です。うーん、BLだ。チツロー×タカです。タカが望むままにタカの身体を毎日ずっと洗いつづける献身的なチチヨと、それを知らずタカを想い続けるチツローの姿に涙が止まらなかった。ついに恋のライバル・チチヨを見つけたチツローはチチヨの瞼を切り取ろうとします。狂った愛のなせる技です。そこを透明人間になったタカにやられてしまいます。愛した人に殺される……一見バッドエンドに思われますが、最後、透明人間になったタカの切ない瞳を見つめながら天国へ逝けたチツローの姿はハッピーエンドと云っても良いのではないでしょうか?そういう描写はありませんでしたけど、本作にしては珍しいハッピーエンドでした。透明人間になったタカがチチヨのもとを去る際、チチヨの書いている小説のタイトルを決めるシーンがあり、そのタイトルが「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」なのですが、この<バイブ>は本当は<バイブル>でありつまり「千々石ミゲルと殺し屋バイブル」が正しいタイトルなんじゃないかというのがチチヨの読みですが、まあ、そういうことです。

「あんにゅい野郎のおぬるい壁」

 疲れてきました。シャブ中のおしっこを蒸発させてシャブをとるよう命じられたあなたは日夜キクチが運んでくるおしっこを鍋で沸騰させる日々を送っていた。ある日、窓の外から差し込む光が実はキクチの子どもヒロシからのメッセージだと気づいたあなたは劣悪な環境下で少年ヒロシと少しずつ心を通わせていく。しかし、実はヒロシは保険金のために育てているにすぎないことがキクチの口から明かされ、キクチはヒロシを先程車の前に突き飛ばしてきたと云う。怒り狂ったあなたはキクチを殺し、知り合いの闇医者のところにヒロシを運ぶ。ギリギリ一命をとりとめたヒロシ。しかし、あなたのもとにはヤクザのイシが。イシはあなたが自分を裏切り殺そうと目論んでいると勘違いし、あなたを殺そうとする。殺されたくないあなたは真夜中の動物園に逃げ込むが、朝方、見つかったのはゾウの肛門に突っ込んで絶命したあなたの姿だった……。と、つまりBLです。それと、二人称で語られるお話です。犯人は読者です。少年×中年です。ショタものです。ヒロシが攻めです。当たり前じゃないですか。一見バッドエンドに見えますが、ヒロシは助かっているので本書にしては珍しいハッピーエンドでした。感動した……。純愛でした。疲れてきました。

「報恩捜査官夕鶴」

 ヘマばかりのだめ警官・四票のもとに突然現れたFBI捜査官・おつうの類まれなる操作力で数々の難事件を解決し、それと共に出世していく四票ですが、おつうが推理をする際は必ず現場のまわりをブルーシートで囲うため誰もおつうがどうやって推理をしているのか知りません。しかし、上司や世間の好奇心は募り、ついにおつうの推理方法が明かされてしまいます。それは被害者の肛門を舐めることでした。世間におつうの推理方法が広まってしまい、おつうは被害者の肛門に塗りたくられた猛毒に死んでしまいます。だが、おつうの推理力はその場を目撃していた上司二人に宿っていたので容疑者2万4千人の肛門を舐め、地球に衝突する隕石を撃墜するためのミサイルを動かす暗号を知っている人から暗号を聞き出して殺した犯人を見つけ、なんとか地球を救うというお話でした。理由を話すまでもなくBLでした。理由を話すまでもなく本作にしては珍しいハッピーエンドでした。感動した。僕はこの本のなかでこのお話が一番好きです。

「ヲタポリス」

 オタクがひどい目にあうけどなんやかんやあってハッピーエンドになるお話でした。理由を話すのはめんどくさいので省きますが、BLでした。あと、柴田勝家に取材をしたらしく、真に迫ったオタク描写でした。本作にしては珍しいハッピーエンドでしたが、本作のなかで一番不快でした。

 

 まあ、そんな感じですね。今週は休みを2日取っているので実質五連休ですが、例のごとく全く何もやることがないしやる気も起きないので、誰かたまにはいとうくんを外に連れ出してください。土曜日はいとうせいこうのイベントに行きます。

おわり。

 

20190701(月)_雨

 先日、会社の後輩と飲みに行って研修の思い出なんかを聞いたんですけど、そこで語られるエピソードのどれもこれもが全部いとうくんの代に起きたことの丸写しにしか感じられなくてびっくりしちゃったよ。私たちの同期、個性の強い人多いんですよ、って、え、そんなこと云われても……。僕がおかしいのかな?不安になってきたのでいつもの飲み屋に行くと、今度はしょぼい人がどうでもいい身の上話や創作論を語っていて眠たくなってしまった。ど、どういうことなんだ……。まともな人間はみんな死んじゃったのかな……。だとしたらかなしい。かなしすぎてラーメン屋でつけ麺と卵かけご飯を頼んだら量が多すぎて食べきれなかった。苦しい。もしかしたら、もう僕は何を聴いても何を観ても何を読んでも何を食べてもうまく消化できないのかもしれない。そういえば、もう久しく心から笑っていない気がするな。何をしても心がぴくりとも動かないよ。固まってしまってるんだ。ここは誰もいないから寒い。そういうことだったんだな。

中山敦支ねじまきカギュー

 お、おもしろ……!感動した。涙で前がよく見えないよ……。随所にいとうくんへのオマージュが散りばめられていて嬉しかった。キャラクターの作り方は西尾維新や小高和剛と一緒だった。いとうくんと西尾維新のハイブリッドだった。本当ですか。感動です。舞城王太郎を読んでなかったら致命傷だったよ。

・綾小路エグ美&牙牙丸恵 vs 鬼塚ムームー&宇木辺リア 戦

 単純な人間なので今までパッとしなかったモブが大活躍するエピソードが一番感動します。感動しました。バイクがねぇ、もうだめだ……ってエグ美が諦めかけたときにバイクならここにあるぜって丸恵パイセンがバイクになるシーンで涙が止まらなかった。僕が通ればそこが電車道だったのか……。いとうくんとエグ美ちゃんと丸恵パイセンでチーム組もうよ。連絡待ってます。

・鉤生十兵衛 vs ガガリ

 簡単な人間なので主人公があまりにも成長しすぎて、もうダメだ、やっぱこいつ強いわ、強いってなる展開が一番感動します。感動しました。もう誰もカギューたんに勝てない……。最後まで愛が勝つよ。この漫画のピークは間違いなく生徒会戦なのですが、いとうくんは少年マンガはピーク過ぎてからの展開のほうが好きです。幽遊白書とかね。幽遊白書読んだことないけど。

・葱沢鴨&二千恵衿沙 vs モアヴ 戦

 健康な人間なので白凰みたいな人が白凰になったけど一時的に白凰みたいになる展開が一番感動します。感動しました。三回くらい射精しました。本当は二回しか射精してません。好きなんですよね、嘘つくの。あ、そうそう、いとうくんは少年マンガはピーク過ぎてからの展開が一番好きなんですよね。ラスト2巻とかいよいよな感じですごいですよね。尊敬しちゃうなぁ。

  いとうくんの好きなキャラクターは御門朱羽さんと犬塚紫乃さんと二千恵衿沙さんです。結婚してほしいです。

 

youtu.be

 この前新宿駅でラウくんみたいな人を見かけました。でも本当にラウくんだったらどうしよう……。今のところいとうくんが街中ですれ違ったことがある唯一のラッパーはMCニガリさんです。

 そんな感じですね。

 嫌いな人が増えてきたので一回みんな死んで出直してきてほしいです。いとうくんに嫌われたらこの世界では生きていけないと思うので。

 おわり。

20190610(月)_雨

 唐突に日本語ラップにまったく何の興味もなくなってしまった。チョキン。今誰がイケてるとか何が流行りとかどうでもよくなってしまったよ。Power DNAとAndrewの違いもよくわかんないし、Leon Fanourakisのアルバムも聴いたけどよくわからなかった。ヤングトウカイテイオーとかもよくわかってない。調べたら昔トウカイテイオーっていう馬がいたらしいけど……。これからはハハノシキュウ、野崎りこん、ジメサギ、ミン・チャン・ベイビー、tofubeats、dodoの曲しか聴かないと思います。昨日はずっと『たまこラブストーリー』の曲を聴いてましたし。洲崎綾はすごいんだぞ。洲崎西のアニメだって面白かったし。

田島列島『水は海に向かって流れる』

水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス)

水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス)

 

お、おもしろ……!おそらく今年一番おもしろい漫画だった。前作に匹敵する魅力的なキャラクターたち……愛おしい。漫画は色々なキャラクターがいて色々なキャラクターがそれぞれ自分の考えを持って自分の意思で動くような物語を書くのに最も適した表現手法なんじゃないかと特に何の根拠もなく勝手に思い込んでいる僕に田島列島は強烈な説得力をくれるから頼もしいぜ。石黒正数の新作があんまりおもしろくないから田島くんには期待してる。早く2巻が読みたいぜ。3巻も読みたい。田島列島は描けるキャラクターもモチーフも実はレパートリーは決して多くない説が有力なので、次作、次々作と何を書いていくのかも楽しみだぜ。僕だけはわかってあげたい。

山口つばさ『ブルーピリオド』 

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

お、おもしろ……!主人公特化型の『ヒカルの碁』みたいな感じだ。今、ちょうどプロ試験の真っ最中だ。登場人物表を見ると癖のある多彩なキャラクターが賑わっている印象だが、実際読むと他のキャラクターは主人公が次の段階へ進むための舞台装置でしかないのでビビるぜ。イカれてやがる。そんな主人公八虎くんが「人との縁」をテーマに一つのカタストロフに到達した瞬間僕は感動のあまりぶっ倒れてしまった。漫画は色々なキャラクターがいて色々なキャラクターがそれぞれ自分の考えを持って自分の意思で動く物語を書くのに最も適した表現手法じゃなかったのか!?自信が揺らぎました。あと努力コンプレックスなので絵にのめり込み驚異的なスピードで進化していく八虎くんを見ていると苦しくて仕方がなかったです。早く5巻が読みたいです。

城平京『虚構推理 岩永琴子の出現』

虚構推理短編集 岩永琴子の出現 (講談社タイガ)

虚構推理短編集 岩永琴子の出現 (講談社タイガ)

 

個人的には5話「幻の自販機」が一番面白くて、次いで4話「ギロチン三四郎」。ほかは同列。ミステリとして一番おもしろいのは多分4話。3話は漫画で読んだほうが面白そう。1話と2話はまずまず。岩永琴子の、絶妙に品のある下ネタのクオリティがレベルアップしていたので感動した。

そんな感じですね。

おわり。

ミス研やめました

久しぶりにミステリを読んだらあまりにも面白かったので思い切って14年間ほど在籍していたミス研をやめました。楽しかったのは最初の数年だけで、徐々に派閥争いや知識マウント、おすすめ本の押し付け合いがひどくなり、最後の数年間はほぼ義務感だけで読書会に足を運んでいた。

僕はミス研の人間を増悪しはじめた。

そしていつしか、それはミステリそのものへと向き始めた。

だからミステリなんて、とっくの昔に興味もなくなっているはずだった。

そんなことはなかったね。ただ、そう思いたかっただけだったよ。

さて、晴れて自由になったので、今日はここ数日で読んだミステリの感想を書こうと思います。

まず僕はジャック・ケッチャム隣の家の少女』を読んだ。

 お、おもしろ……っ!隣の家に住んでいる少女が家族ぐるみで虐待を受けて最後は死んでしまうだけのお話なのになんなんですか、この面白さは。す、すごすぎます……!

ラーメン屋の行列を待つ間に読んだけど、ラーメンの味がよくわからなくなるくらい没入した。

感じたのは、大事なのは無力な傍観者に読者を肩入れさせること。そして加害者にも被害者にもなりうるという緊張感。(実際、読者のそばに立つデイヴィッドは作中唯一の傍観者ではあるが、しかしメグの性的な虐待に惹きつけられてしまう加害者でもあり、ルースに地下室に閉じ込められる被害者でもある。)

感動した。

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

 

勢いに乗った僕は紀伊国屋で本を買って帰った。

お風呂をためて、湯船のなかで城平京『虚構推理』を読んだ。お、おもしろ……っ!これを漫画化しない漫画界やこれをアニメ化しないアニメ業界に先はないと思った。調べてみたら漫画化してるし、アニメ化するとのことだった。僕は安心した。すごい。怪異譚とミステリをここまでのバランス感覚で尚且とんでもなく面白く書けるのは城平京だけ!

知らないけど。

でも本当に面白い。

ストーリーは結構わかりやすくて、人々の想像力によって生まれた怪異『鋼人七瀬』を倒すため、その想像力の源となっているネット掲示板の人たちと戦うという話。

つまり、『鋼人七瀬は亡霊ではない』ということをネット掲示板の人たちに思わせればいいということなんだけど、それはネット掲示板の人たちを論破するということじゃなくて、『鋼人七瀬は亡霊である』という虚構よりも人々が面白がる、信じたくなる虚構を、主人公岩永琴子ちゃんが作り上げるというのが楽しい。

さらにここに『人魚姫』と『くだん』を食べて『不死』と『未来決定能力』を得たもうひとりの主人公、九郎くんの存在が加わるからすごい。実際、『未来決定能力』がなければどうしたって次々に手のひら返しをしていくネットの人たちの反応はご都合主義にしか受けとれなかっただろう。

名探偵の推理を支える説得性の一つが『未来決定能力』という、うそっぱちの『虚構』なのだ。

こんなに痛快で面白いことはない。

あと、物語の終盤の琴子ちゃんの「虚構の中に虚構は生まれ、真実に裏返り、鋼人七瀬は消え去ります」というセリフには心底震えた。岩永琴子さん、結婚してください……。 

虚構推理 (講談社タイガ)

虚構推理 (講談社タイガ)

 

興奮した僕は、次に草野原々『これは学園ラブコメです。』を読んだ。お、おもしろ……っ!

いわゆるメタラブコメ

学園ラブコメというジャンルを成立させるため、主人公・高城圭を巻き込んで虚構をつかさどる力が擬人化された存在・言及塔まどかが大暴れ!という作品。

一つ間違えるととんでもない痛いことになる、思いついてしまえる割にはかなりの力量を必要とするメタフィクションというジャンルにおいて、ではこの作品はどうかというと……傑作!この面白さは野崎まどなんかに通じるところがあるんじゃないかな。

とにかくハイテンションなのだ。

とくに三章の、言及塔まどかと地の文がしょうもない喧嘩を始めるあたりや、しまいには地の文と地の文が喧嘩を始めるところなど大笑いしながら読んだ。

四章にて、かつてのライバル『読者への挑戦状』がせまりくる敵から主人公たちを守るあたりは感動で涙が止まらなかった。すごい……。

ただ、物語の構造によって物語が解決するラストシーンは、そのまま人工的、構造的な感触があって残念だけど、しかしそもそもがこの小説はそういう小説なので仕方がない部分もある。これはあらゆるメタフィクション的無茶苦茶を通過し、物語が勝つという話なのです。

今どき、メタフィクションなラブコメなんてものはもうすっかり見慣れたものになってしまったけど、これは傑作でしたね。

しかし最近はどのラブコメも、作者が意識している・いないにかかわらず、メタ意識みたいなものが通底に流れている気がしますね。ん???それは、本格ミステリというジャンルを愛し、愛しすぎるあまり内省的内省的になりついにはジャンルを壊してしまった新本格に通じるのでは????つ、つながった……。すべての道はミステリに通じる。僕の頬を一筋の涙が流れた――。

これは学園ラブコメです。 (ガガガ文庫)

これは学園ラブコメです。 (ガガガ文庫)

 

「いつまで面白がっているつもりだ」

不意に、耳元でささやく者があった。

ぼんやりと浮かぶ黒。

日本文学だ。

「もういい加減帰ってきなさい。そのような、面白いだけの、他になんの取り柄もない小説なんか、読むな。ストーリーがある小説はカス。キャラクターがいる小説はカス。文章だけで勝負しない小説はカス。忘れたのか?」

日本文学が僕のまわりを飛び跳ねながら、叫ぶ。

――い、いやだ。あそこは暗い。そして寒いんだ。あそこでは、誰も僕のことなんか見ていない。みんな、好き勝手自分のことだけを喚き散らして、それで満足したように帰っていくだけなんだ。僕の顔なんてちっとも気にしないで。

「読者の顔色を伺う小説はカス。自分の書きたいことだけを書かない小説はカス。誰かを楽しませるためだけに書いた小説はカス。いい加減思い出せ」

――ち、ちがう。誰かのことを想って書く小説だってすごい。ただ楽しんでもらいたい、その純粋な気持ちの何がいけない?

「なぜわからない。なぜ気づかない。なぜ目をそらす。小説とは自分の内側をひん剝き、さらけ出すことだ。穴が空いてクレーターのようになった胃、ニコチンで汚れて元の色を失った肺、排泄物が溜まって悪臭の漂う腸、そういった、人間が必死に隠している内側を提示するのが小説だ。思い出せ。なぜ忘れたフリをする」

――そ、そんなことはない。それだけが小説じゃない。そんなはずは……。

「云ってもわからぬバカ。もういい。お前はどこまで逃げても無駄だ」

黒が大きくなっていく。

 それはやがて、人ひとりを飲み込める大きさにまでなった。

僕は飲み込まれていく。

暗い、暗い、暗い底へ。

なにかを必死で探り当てた手のひらがつかんだのは小さな文庫本で、それはなんの助けになることもなく、僕は深い穴の向こうへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は今、暗い井戸の底にいる。ここは暗く、そして寒い。唯一の光源は、頭上から射すわずかな星明りだけ。

僕はその星明かりを頼りに、必死につかんだ文庫本、殊能将之『子どもの王様』を読んだ。お、おもしろ……っ!ただ、傑作とは言えない。『黒い仏』や『鏡の中は日曜日』を書いた作家にしては、あまりにも単純すぎるというか、子どもの王様の正体については序盤ですぐにピンときてしまうし、この結末だってありきたり感を拭えない……と感じていた僕だが、解説を読んで完全にやられてしまった。

 大人の読者であれば、登場人物たちの設定を把握した段階で、「子どもの王様」が誰なのか、だいたいの見当は付くだろう。

 しかし、小学生のショウタ少年には、まったく――それこそクライマックスで「子どもの王様」と対峙してその顔を間近で見るまで――分からないというのがこの話のポイントなのだ。大人ならば分かるけど、子どもには分からない。 

 あ、ああああ!

僕は馬鹿だった。

そうなのだ。大人なら分かるけど、子どもには分からないのだ。家族にも様々な形や、事情があることなど。誰しも平等に愛されているわけではないことなど。それこそ、子どもを虐待の末殺してしまう大人だって、いる。

だから殊能将之は書いたのだ。

いずれ大人になる子どもたちへ。

いつか子どもだった大人たちへ。

少しでも、なにかを感じてもらえれば、と真剣に祈りつつ。

僕は深い深い深い穴のなかで、一人涙した。そして感謝した。殊能将之に感謝した。しかし、殊能将之はもう、いない。数年前に惜しまれつつこの世を去ってしまった。

みんないなくなる。

確かに、日本文学の云うとおり、ストーリーのある小説はカスなのかもしれない。キャラクターのいる小説はカスなのかもしれない。文章だけで勝負しない小説はカスなのかもしれない。

だけど、同じようにストーリーのない小説だってカスだし、キャラクターのいない小説だってカスだし、文章だけで勝負する小説もカスなのだ。

結局、何を書いても、小説は全部カス。

だがしかし、誰かのことを想って書くかぎり、少なくともそれは小説になる。まごうことなき小説になる。比類なき小説になる。たった一つの小説になる。

殊能将之はそうやって書いた。死んだ作家はそうやって書いた。生きている作家はそうやって書いた。これから生まれゆく作家はそうやって書いた。作家になれなかった作家はそうやって書いた。

気がつけば、頭上にはまばゆい輝きが満ちていた。光が、僕の身体をあかく染める。

ここはもう、暗くなく、そして寒くもない。

僕は色々なことをすぐに忘れる。読んだ小説のストーリー、魅力的なキャラクターの名前、心に強く響いた文章。

だけれど、その小説を読んだという事実だけは消えない。僕のなかに残りつづけるものは、確かにある。

まばゆい輝きに照らされながら、僕は少しだけ眠り、目が覚めたらここを出ていく。

おわり。

子どもの王様 (講談社文庫)

子どもの王様 (講談社文庫)