いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

写真には写らない美しさがあるから

右足が意味もなくずっと痺れてるみたいになってて触るたびにあ、痺れてる……って戦慄して気が気じゃないんだよなぁ。成長痛なのかなぁ。アップルローン組めるか電話して聞きたかったけど、お互いの顔が見えないコミュニケーションが怖くて結局日が暮れてしまったんだよなぁ。

みんな例外なく人と喋るのが苦手だから、人と心を通じあわせたいと思ったとき、僕たちは時にカメラを構えるんだよなぁ。写真はコミュニケーション、なんだよなぁ。僕がカメラを構える、レンズを向けられると、みんなはへらっ、って笑う、僕がシャッターを押す。切り取られる笑顔。なんだよなぁ。僕たちは不完全だから、扱う言葉も不完全で、だから僕たちは誤読を繰り返してしまうけど、レンズを向けられたとき、その一瞬レンズ越しに見えるその笑顔、それだけは本当のこと……なんだよなぁ。美しさ。そこには難しい言葉なんてなくて、はい、チーズ、っていう、簡単な合図しかない、んだよなぁ。誤読の介在する余地すらない完璧なコミュニケーション。だから僕たちは安心してレンズを向ける。みんなに、自分に。そして、この完璧なコミュニケーションで得た笑顔を、もっと沢山の人に見て欲しいと思う。そんな、ネットリテラシーを簡単に凌駕する不思議な誘惑が、たくさんのみんなの笑顔を僕たちに届けてくれる。んだよなぁ。急にカメラを向けられてちょっと戸惑った笑顔。いいね。不意打ちで撮られた間抜けな笑顔。いいね。カメラ目線でバッチリ決まってる笑顔。いいね。特別な人にだけ見せる笑顔。いいね。みんなの笑顔に釣られちゃった笑顔。いいね。しょうがないから作った不自然な笑顔。いいね。自然にこぼれちゃった笑顔。いいね。感動で涙が止まらない。でも、貰ってばかりじゃダメだな。僕もみんなに感動を配りたくてアイフォンのカメラロールを開く。でも、あれ、誰も笑ってない……。

みんな元気。 (新潮文庫)

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