いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

世界が煌めいていると感じたのなら、それは君の心が煌めいているからだよ

プリズムジャンプは心の飛躍。僕たちはそれぞれ心を持っていて、でも、それはみんな、違った形をしていて、だから、当たり前だけど心を飛躍させる方法は一つじゃない。それぞれのプリズムの輝きを胸に、少女は華やぐ! 輝くスターを瞳に写し…… 少女は舞う! 弾ける夢を胸に掲げ…… 少女は奏でる! 無限の未来を追い掛けて……そして、なりたい自分にプリズムジャンプ。

それはオーロラのごとき輝きを放つ、夢。

さて、では、現実、果たして、僕たちはなりたい自分にプリズムジャンプできているだろうか?

僕のことを少し話しておこう。僕も昔は、といっても12歳か、13歳のころの話だけど、プリズムスタァの候補生として教室に通っていたことがある。経緯は単純で、その頃期待の新人ユニットとしてデビューしたCallingsのショウさんのプリズムジャンプに心奪われたからだ。プリズムショーの練習は楽しかった。かっこいい曲にあわせて身体を動かすのはなんともいえない快感だったし、スケートリングを綺麗に滑れたときに全身で感じる風は何ものにも代えがたい体験だった。まだプリズムジャンプこそ飛べないものの、僕に才能を感じ、応援してくれる人も、少なからず、いた。でも、それも長くは続かなかった。いつまで経っても、僕には心を輝かせるということがどういうことなのかわからなかったのだ。僕はそこで挫折してしまった。プリズムショーを観ていると、たしかにワクワクした。心が輝いている感じが、した。でも、いざ、自分で、となると、わからなくなる。たしかに、ショーをやるのは楽しい。けど、何度やっても、僕はプリズムジャンプを飛ぶことはできなかった。そうして、いつの間にか、僕はプリズムショーを見ることも少なくなっていた。

だから、春音あいらのデビューは、衝撃だった。なにせ、それまでプリズムショーのこともよくわからなかった少女が、いきなりプリズムジャンプを飛んだのだ。僕にできなかったことを、いともたやすく……。それから、天宮りずむ、高峰みおん、せれのん、と、新しいプリズムスタァが登場するたびに、僕はまた、少しずつプリズムショーの世界から目を離すことができなくなっていた。一体、僕と、彼女たちスタァと、何が違ったのか?目の前で光り輝くプリズムの輝きに、僕は興奮し、そして、苦悩した。

そんななか、プリズムクイーンカップを観戦しに行ったのは、本当にただの気まぐれだった。ウィンタースノーカップで天宮りずむを破って優勝した久里須かなめのプリズムショーに、どこか自分と似た匂いを感じて、久しぶりに生でプリズムショーを観てみたくなったのだ。

さて、プリズムクイーンカップで一体何が起こったのかを、いまさらここで改めて語る必要もないだろう。結論だけいうと、僕はプリズムジャンプを飛んだ。飛べた。オーロラライジングを飛んだとき、僕は僕の胸に確かにプリズムの輝きを感じた。あったんだ、僕の夢は、ちゃんと、ここに。

プリズムジャンプは心の飛躍。

それから、年甲斐もなく僕はもう一度、プリズムショーの教室に通い始めるようになった。流石に昔のように身体は動かないし、まだプリズムジャンプは飛べないが、でも、きっと大丈夫だ。なぜなら、僕はあの日見たのだ。オーロラのごとき輝きを放つ夢の形を。見てしまったのなら、信じるしかないじゃないか。それが、何者でもない僕たちが、自分の世界を煌めかせるための、たったひとつのやり方なのだから。

つづく。