いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

「将来どうなりたいとか考えたことある?」と聞かれて僕は今ここにあるのがその将来なんじゃないのか?と思った。もうどこにも行けないんじゃないのか、僕たちは。「やりたいこと並べていったらオレは自由に使える時間が欲しいんだなってわかった」「その人たちに出会ってわかった」「通勤時間も本読むようにしてる」「自分がどうなりたいかだよな」で、お前は誰?ファック。死ね。「いとうくんは残業したりして責任ある仕事任されてるかもしらんけど、オレは、」と語る自信なさげな瞳だけが妙に記憶に残っている。

あとは忘れた。

僕は強い。

それからその人とは会っていない。どうなったのか、今も会社に残っているのかもよくわからない。終わったことだった。全部終わった。大好きな馬はもう走らないし、好きだったアニメは6年も前に終わっている。現場に残留することが決まったその日の飲み会で課長は僕に「目標は来年までに同じ現場の先輩を超えること」と言っていたけど、結局半月後にはその現場を離れることになった。気づけば25歳になっていた。もう戻れない。やっぱりどう足掻いたって今、ここにあるのが僕の将来なのだ。夢も、未来も、もうないのだ。

そのことに気づいているだけ僕は利口だ。

同じ時期に会社に入ったあいつは小説家になると言って会社を辞めていった。高校の同級生は今でも俳優になりたくて売れない演劇に出演してるらしい。飲み屋で知り合ったおじさんは40を超えてもまだ売れないバンドをやっている。みんなもう終わっているのに、誰もそのことに気づいていないらしい。

アホらし。

死にさらせ。

僕はコツコツと働いていた。次の現場は前と違って厳しいところで、休みを取るには理由がいるし、同じことを何度も訊けば怪訝な顔をされる。15分前に席についているのは当たり前で、朝会の前に声を揃えて挨拶をしなくちゃいけない。僕はすぐに慣れる。要領も前の現場ですっかり身につけていたからすぐに色々なことを任されるようになる。社会に自然に溶け込んでいく自分に少しだけ失望を覚えるが、すぐに忙しさに埋もれてどうでもよくなる。

何かに悩んでるやつはバカ。僕は悩まない。身体を動かす。走る。自分の時間なんてない。けど幸せだ。

しばらくそんな生活が続いて、ラインのメッセージが来る。しばらくぶりの同級生から。「今東京だっけ?今度そっち行くから飯行かね?」僕はしばらく迷ってから、その日は仕事があるから無理、と返す。今度地元帰ったら飲もう、とも。もう2年くらい地元には帰っていない。連休の記憶がないのはどういうことだ?違う。そういうことが言いたいんじゃない!!!!本当に悲しくなる。早く仕事に行きたい。働くのがつらいとかほざいてるやつは本当にクソだと思う。誰もが病んでる。まともな人間が僕しかいない。勘弁してくれ。クソとクソとクソに塗れて僕だけが1人だ。やめろ!!!!!同情するな、頭がおかしくなったんじゃない。おかしいのはお前らだろ。働くのが嫌とか、働くのが楽しいとか、アホか?????死ねよ。本当に死んでくれ。全員死ね。いなくなれ。感情を持った全てがなくなれ。黙祷。結局こうなるのか。どこにいても人が何かを語ることが僕は許せない。許せない。許せない。勝手に僕のことを決めて語る人が許せない。誰にもわからせない。何も辛いことがないのに全部嫌いでしょうがない僕の気持ちは誰にもわからない!!!!!!!!!!!!幸福に包まれながら全く満たされない僕のことなんか!!!!!!!!!!!クソ。僕だってわかりやすく社会から弾かれたかった。わかりやすくトラウマになるような事件に出会いたかった。何もないんだもんな!!!!!普通に人生を歩んでるよ。仕事楽しいよ!!!!!クソが、マジで死ねよ。こんな苦悩もこの世界にごまんと溢れていて誰も僕に気づかない。あの馬はまだよかった。メンタルに問題があるって、ちゃんとわかってくれる人がいた。僕は?「君はのらりくらりうまく人生進めていくタイプでしょ」は?????もう嫌だ。もう何もかも嫌だ。誰とも喋りたくなんかない。誰とも何も共有したくない。僕はしいたけになりたい。あまりにも何もかもがどうでもいい。どれだけの人がわかってくれるかもわからないが、僕は小説家になりたかった。小説を書く人になりたかった。本当に。真剣に。今、僕は毎朝通勤電車に揺られている。埋もれていく。幸せだ。幸せでしかない。もうどうでもいい。明日死んでもいい。本当は死にたくなんかない。僕の感情が僕はわからない。ここまで誰も読んでないことを僕は知っている。誰も!!!!!誰も僕の文章を読んでいない!!!!!誰も!!!!!!!もうどうでもいい。僕はどこにも届かない言葉を吐くだけのオナニー狂いのウンコ。精神に障害を持たない障害者。言葉にならない憤りだけが僕を動かす操り人形。みんなに尊敬されたかった。みんなを生きてるだけで悲しい気持ちにさせる存在になりたかった。明日から三連休だね。誰か僕と遊んで、僕の心臓はずっと動いていて誰もそれを止めようともしない。