いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

何でもない誰でもないどこにも行けない

 晴れている。

『愛でもない青春でもない旅立たない』を一日かけて読んだ。分量にして文庫本174ページ。本を読むなんて久しぶりだったから頑張った。僕はすごい偉いかもしれない。

 でも実を云うと、冒頭3ページだけは昨日のうちに読んでいた。だから今日は正確には171ページを読めばよかった。僕は京急蒲田駅へ向かう電車のなかだった。蒲田に行くのはちょうど一年ぶりだった。3月31日。あの日と同じく、最寄り駅から新宿を経由し品川駅へ、そこから京急に乗り換えて京急蒲田駅へ向かった。僕がバイトで若者に吐き捨てるように視線を外されてもうこのバイト辞めようと思ったり、オッサンの胸で泣きたい気持ちになっていると京急蒲田駅に到着した。一年ぶりの蒲田。なんもかわんねー。蒲田の街は、なんか、色がない気がする。強いていえば灰色?行ったことないけど五反田もおんなじような感じがする。前に住んでいた街の駅まわりも似たような感じだった。文フリ会場まではすぐだった。でも去年は会場までもう少し歩いた気がする、、、。もしかしたら去年は京急を使わずに来たのかもしれない。マイドリの三人がタッキーをハンマーで叩いて壊すショート漫画などが載った短編集と、春音あいらがPrizmmyの4人に下着をコーディネイトしてハピラキになる漫画と、WITHの3人がひたすら犯される漫画を買った。本当はブサイクになったオバレの3人がめるめるに夢中になっている漫画も欲しかったけど僕が会場に着いたときにはもう完売していた。くやしい。だから見本誌だけ立ち読みして帰った。高架下にあるラーメン屋で食べたつけ麺が美味しかったから許すことにした。気分が良いので蒲田の町並みを散歩しようかと思ったけど気づいたら駅にいて、電車を待っていた。山手線に乗り換えて、ちょうど途中に五反田があるし降りてみようかと思っていたけど目が覚めたら新宿駅にいた。僕は行ったことのない場所には行けない。その頃僕は、高山先生が美味しいとブログに書いていたタイ焼きを探して、元宮ユキと大森をあてもなく歩き回っていた。結局タイ焼きは見つからなかった。

 新宿ベルクでビールを飲みながら、大阪杯の結果が出るのを待つことにした。発走まで時間があったので、単勝⑦を買い足した。単勝⑦を買い足したってことは、心のどこかで僕は朝買った馬券ワイド⑦ー①⑫⑭が外れると思っているのだな、と思った。予想通り僕の馬券は外れた。本当は結果を知ってから、まあこの馬券が外れるというのはわかってましたけどね、という風にして精神へのダメージを最小限にとどめたんだけど、順番がどうであれ負けた事実に変わりはないのでどうでもいいことだと思う。でも信じてもらえないかもしれないけど、当たる馬券というのは馬券を買った瞬間にわかってしまうものだったりするのだ。村上春樹は野球の試合を見ていて急に天啓を得て自分は小説を書けることに気づいたと云うけど、それと同じことだと思う。

 家に帰った。

 僕はそれからまなみにちんこを写生されたり元宮ユキと下北で飲んだ流れで浮気をしてしまったりしていた。俺ならこのまま始発までセックスせずに帰れると思ったけどだめだった。でも僕は一度も射精をしなかった。僕は夢の中で覚めることができる。云い忘れていたけど、それがこの小説では重要なことの一つなのだと思う。

 夕食にgionでナポリタンを食べた。いつも思うけどこの店でナポリタンを頼むとサラダのレタスの量が尋常じゃない。そっちを食べるのに一生懸命でナポリタンがおざなりになってしまう。でも野菜を食べるのは健康的だからいいことだと思う。僕はまなみと別れることになる。なんとなくそんな気はしていた。

 それから久しぶりによるのひるねに行ってみた。もう時間は午後8時を過ぎていた。店内は相変わらず小汚い感じだったけど、店内に置かれた本が整頓されてるようにも感じた。近くの映画館で日活ロマンポルノをやっていると聞いて少し行きたかったけどどうしようか悩んでいた。とりあえずモスコミュールを頼んで残りの小説を全部読むことにした。読めた。これはすごいことだ。僕はそう思った。僕が前田司郎のことを好きになったのは大学3回生の頃だったと思う。それから僕は社会人になってしまった。前田司郎は変わらず好きでいられた。こみ上げてくるものがあって帰り道は歩きながら田村ゆかりの歌を聴いた。いい歌をうたうよなあ。