いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

夢川ゆい / 夢川ゆい - 夢川ゆい(夢川ゆいremix) feat.夢川ゆい,夢川ゆい,&夢川ゆい(prod.夢川ゆい)

24歳になった。

24歳になったけれど、家族からは愛されて育ったし、自分を嫌う子供じみた幸福時代は終わっていたので、コンビニエンスストアでショートケーキとワインを買って誕生日を祝おうとしたが、蝋燭がなかった。

誕生日ご愁傷さま。

今年もチキンを買い忘れた。

 

一日遅れで、にのからラインが来た。

にのはプリパラで出来た友達で、僕がまだ関西にいた頃、たまに朝まで京都で遊んだり、KING OF PRISMの応援上映に行ったりする仲だった。東京に来てからも、一度だけ吉祥寺のあたりで遊んだ覚えがある。

にのは突然いなくなってしまった僕を心配しているようだった。プリパラにいるみんなが、突然いなくなった僕のことを心配していることを伝えられた。

「みんな待ってるっすよ」

その言葉に、僕は、ほんの少しだけ、本当に僅かにだけ、戻ってもいいのかもしれないと思った。ほんのきまぐれに、なんてことなかったように。

ありえないんだけどね。

にのと、昔のように話して、それからみんなに、みんなも元気で、と伝えてもらい、僕は布団に倒れ込んだ。

ここのところずっと眠い。朝起きるのがとにかく億劫で、できることならいつまでも寝ていたい。通勤電車のなかで突発的に発生する座席の取り合いに一日の大半の労力を費やすようになったら人間は終わりだと思っていたけど、人は案外あっさり終わってしまうらしい。

夢川ゆいは考える。みんな大好きだ。この気持ちに嘘偽りはないが、そこに耐えられないものがあるのもまた事実だった。

だめだ、僕以外のすべての人間が幸福に見えてきた。

僕の誕生日なのに。

正確には一日遅れだが。

正確な誕生日に感傷的な気分に浸れないのもまた悲劇だ。

僕の過敏な精神は澱みつづけることにめっぽう弱い。

ずっと、色々な人が僕のもとから去っていくのだと思っていたけど、どうも色々な人に背を向けていたのは僕のほうだったらしい。僕も立派な加害者だったってわけだ。ここらで被害者意識はいい加減捨てなくちゃいけないのかもしれない。もう24歳なわけだし。もう子供がいてもおかしくはない年齢なわけだし。

僕はしっかりしたい。

感傷的な気分に浸るのも、人生に対して曖昧に前向きな気持ちになるのも、何もかも一日遅れだけれど、それでもしっかりはしたいものだと思う。

僕の過敏な精神が、澱みつづけることを嫌い、周りのものを定期的に切り捨てなくちゃ生きていけないってなら、明確な意思でもってそれを実行すべきだし、余計な感傷や罪悪感に苛まれるべきじゃないのだ。

そろそろパンダのアイコンにも限界を感じ始めてきた。

だけど、どうか、願わくば、次にみんなと会うときは、笑顔で。

おわり