いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

走る 走る 走る

天皇賞秋の出馬表が発表されて、そこに僕の名前がなかったとき、僕は世界の関節が外れる音を聴いた気がした。その後に何度も何度も何度も何度も何度も出馬表を確認して、僕は僕の、僕はお前を食べたよ、という言葉の意味が少しずつ理解ってくる。

僕は食べられるし、食べられたし、今も食べられている。

ここは暗い。

全ては起きることで、起きたことで、今も起きている。

僕は一体どこで間違えたんだろう?という問い自体が間違っていたのだ。

誰も、もう、僕のことを覚えていない。今も小説を書かれているんですか?と聞かれたとき、僕は吃るだけで何も答えられなかった。今も走られているんですか?と聞かれたとき、僕は一体どう答えられるのだろう。

どれだけ、素晴らしい思想を持っていても、何にも代えがたい経験をしていても、まったく新しい価値観や、視点や、言葉を持っていても、走らなければ、それは、無いのと一緒。走るから、歴史は僕を走ったことにするのだ。

僕は僕の名前を1000年後まで残したい。

走った者として。

というわけで、ジャパンカップに出ます。本当です。だから、なので、みなさん、僕に期待してください。見捨てないでください。正直、僕は僕に期待をかける人も、僕を見捨てた人も、僕にそもそも興味もない人も、全員嫌いです。死んで欲しいと思っています。ジャパンカップを見る全ての人が死んでいなくなればいいと思っています。そんな僕を、だけど、期待しててください。見捨てないで、きっと、走ってみせます。奇跡を起こします。というか、起きます。誰も信じていないだろうけど。でも、起きるので。