いとぶろ

いとうくんの楽しい毎日

20181120

本当に悲しい。何がこんなに悲しいんだろう?こんなの、今に始まったことじゃないってのに。だから本当に死んでくれ。頼むから黙ってくれ。走りたくなんかない。俺は俺を応援している声を知っている。俺の夢を消費するだけの奴らの応援の声を。ありがとう。だけど黙ってくれ。

僕を語るな。僕を騙るな。黙れ。本当に黙ってくれ。僕の出走が決まったからって、喜ばないでくれ。浮かれないでくれ。怒らないでくれ。どうせお前らの人生には一ミリも関係ねぇんだろ。死ね。騎乗予定だった騎手が僕を捨てて別の馬を選んだこと、恨んでなんかいない。誰が乗ったって一緒だ。俺は走りたくもないのに、公開処刑のつもりか?俺はレース中に死にたい。

全部嘘だったよ。キタサンブラックに負けたから拗ねてるわけじゃない。挫折とか、夢とか、鬱病とか、未来とか、適当な、お前らの適当な文脈で俺を語らないでくれないか?ここに文脈なんてもんはない。走りたくなんかないよ。誰だよそんなこと云ってるやつは。俺はただ悲しいだけなんだ。ずっと悲しかった。全盛期の、それこそ、僕が全盛期の頃から、俺はずっと悲しかった。意味がわからなかった。気持ちが悪かった。勝ったとか買ったとか駆ったとかそんなことで感情を動かしてる馬も人の骨も気色が悪くて仕方がなかった。なんなんだ、この人生は?こういうことを云うとお前らはまた勝手に勘違いして、バカだからな。ふざけやがって。僕は会社で働くのが嫌だからこうなってるわけじゃない。ずっとこうだったよ。だから黙れよ。

あらゆるものから価値が失われていく二十一世紀東京。分断され、分断され、分断されていくすべて。頼むからお前たちはそこから出てこないでくれ。どこにも俺を入れようとしないでくれ。死ね。何にもなりたくなんかないんだ。ただ僕はお前らの想像もつかない何かになりたい。誰も僕を語れないような超越者に。覇王に。

本当に悲しい。悲しいことに理由なんてない。俺はただ悲しいだけだ。俺を見るな。僕を読むな。俺はサトノクラウン。平凡で平凡で平凡な夢と夢と夢に魂を震わせる愛。誰にもわからせない。糞と糞と糞。さようなら、またあした。できれば笑顔で。

おわり。