卒業は終わりじゃない、新しいはじまり
少しずつだけど、でも、たしかにしっかりと暖かくなっていく今日この頃。まるで僕の心を優しく解きほぐしていくかのようだ。
優しい光に包まれて、何もかもを許せてしまえそうな、そんな夜。
僕は明日、大学を卒業する。
長かった、本当に長かった学生生活は、これで、もう、終わり。これ以上は続きません。
ありがとう。
目を閉じると、その一瞬、そこにはこれまでのすべてが凝縮されていて、でも、目を開けると夢から覚めたあとのような、そんな不思議な感覚。
色々なことを思い出す。
大学一回生の頃、なにがあったっけなぁ。
大学二回生の頃、うーん、あんまり覚えてないや。
大学三回生、まあ、なんか、わかんないや。
大学四回生は……忘れちゃった。
記憶にも残らないような、なんてことない平凡な日々が、僕の学生生活のすべてだった。一日と一行が等価な日々。超展開も感動も幸せもない日々。
でも、楽しかった。
超展開も感動も幸せもなかったけど、平坦や無感動や不幸だったわけじゃない。このままでいいのかなって不安で眠れない夜は何度だってあったけど、今はちゃんと胸を張って言える。これでよかった、って。さよなら眠れない日々よ。さよなら大嫌いだった世界よ。さよなら大好きだったセカイよ。
あともう一度、目を閉じて、開けたら、卒業式。
全然実感が沸かない。
卒業研究とかどうなったんだっけ。思い出せない。色あせていく僕の平凡な日々よ。
泣いちゃうのかな。僕は涙脆いからなぁ。どうなんだろう。わからない。未来は何も決まってない。今、はっきりしてることは、僕は僕の学生生活を誇りに思っているってことだけだ。
おわり。